サティヤ サイババの御言葉

日付:1963年10月22日
場所:プラシャーンティ ニラヤム
ダシャラー祭連続講話④より

プルシャとプルショーッタマ

人は、他のことはすべて知っていますが、死については知りません。人はなぜ死ななければならないのか? 死ぬことは何のためになるのか? 人はなぜ死ぬのか? 二度と死なないようにするため、というのがこれらの答えです。人が生まれてくるのは、再び生まれてこないようにするためです。人は生まれてきて、土地や財産、物品や穀物、快適で贅沢(ぜいたく)な品物を手に入れます。人はそれらが自分に幸福を与えてくれるものだと思い、そのため、それらを手に入れることが、人の努力奮闘の目的となっています。しかし、神を実現させるという目的を忘れています。あなた方は、「人はなぜ、善良な仲間を求め、善い行いをし、心を善い思いへと向けるべきなのですか?」と、尋ねるかもしれません。あなた方は私に耳を傾けていますが、聴くと何を得ますか? 私があなた方に至福(アーナンダ)を与えているということに、同意するのではありませんか? では、あなた方は私に何をお返しにくれるのですか? 私があなた方に話していることへのアーチャーラ(従うこと、守ること)を私によこしなさい。私が教えることを実践しなさい。それで十分です。私の求めることはそれだけです。

人は猫や犬のように死ぬべきではありません。人は、この世に来たときよりも善良になって、幸せになって、この世を去るべきです。人は、自分が見たもの、聞いたもの、触ったもの、嗅(か)いだもの、味わったものすべての中に神を見るチャンスを与えられたことへの感謝に満ちて、この世を去らなければなりません。人は息を引き取るとき、神を思い出さなければなりません。

決して神から注意がそれることを許してはならない

その想起を得るためには、一生をかけた練習が必要です。車のハンドルを握っているとき、あなたは、車の中で交わされている会話を聞いたり、さらには、その会話に加わったり、他のさまざまなことをするかもしれませんが、あなたの注意はずっと前方の道路に注がれています。母親は、三つの水がめを重ねて頭の上に乗せ、同行の女性たちとおしゃべりをしながら井戸から戻ってくるときも、頭の中は家の揺りかごに寝かせてきた赤ん坊のことに集中しています。それと同じように、あなた方が世間でさまざまな義務や責務に従事しているときも、決して目的である神から注意がそれることを許してはなりません。神の栄光と、神の慈愛と、神の遍在のしるしに、いつもよく注意していなさい。

兵士となるのは、何年も厳しいトレーニングを積んだ結果です。先頭の列を行く兵士の勇気と冷静さは、幾年かの練習と訓練を重ねた産物です。先ほどラーニ ナラシンハ シャーストリが述べたように、何年も真剣に勉強して、初めて試験を受けることができるのであり、さらに、その結果はすぐには発表されないのです。あなた方が結果を知るには、いくらか待たなければなりません。ですから、一息ごとに神を思い出す習慣を育てなさい。そうして初めて、息を引き取るときに神を思い出すことができるのです。

ある老人が死の床に就いていました。その老人はカンナダ国の者だったと思います。最期のとき、老人は何やらつぶやくことしかできず、子どもたちには何を言っているのかさっぱりわかりませんでした。そこで、医者を呼んで、言葉がはっきりするように、酸素か何かを吸入させてほしいと頼みました。きっと、自分のお金を隠した場所の正確なありかを言っているに違いないと、子どもたちは推測しました。そのため、子どもたちは、あらゆる手段を使って言葉がはっきり聞き取れるよう試みました。しかし聞き取れたのは、「カ」だけでした! それはカナカ(金)のことなのか、カル(牛)のことなのか、あるいは、カナジャ(穀倉)なのか、カサバリケ(ほうき)なのか!? と、子どもたちは問いました。ほうきを見せられたとき、老人はうなずき、亡くなりました。そのため、その老人は、ほうきに生まれ変わらなければならなくなりました!

死は完成であり、避けられない

あなた方はその老人のように死ぬべきではありません。あなた方はビーシュマのように死ななければなりません。ビーシュマは、パーンダヴァ兄弟に「シャーンティ パルヴァン」(『マハーバーラタ』の「平安の巻」)を説いていた間、矢の床に横たわっていました。そして、その臨終のときには、ビーシュマの目の前にも、ハートの中にも、クリシュナがいたのです。

死は、恐ろしいものであり、幸福な状態のときに話題に挙げるべきではない! と考えられています。しかし、死は、善いものでも悪いものでもありません。死という事柄に関して、あなた方に選択肢はありません。死を歓迎するからといって、死を早めることはできませんし、死は悪いものだと非難したからといって、死を避けて通ることはできません。死は完成であり、避けられないものです。生まれ落ちた瞬間から、火葬場への行進は始まっています。他の人より早く到着する者もいれば、迂回(うかい)して遅く到着する者もいます。人の違いはそれだけです。しかし、それでも人は、まるで死が遠い先の災難であるかのように考えて、歩き回っているのです。

近所で子どもが亡くなると、あなた方はその父親に、すべては夢だ、子どもは生まれ、死んでいく、なぜなら、子どもは貸し主で、前世で背負った古い負債を知らせるためにやって来たのだ、等々と言って慰めます。けれども、いざ、自分の子どもを失うと、それと同じことを主張して自分を慰めたりはしません。それらはもっぱら、他人を慰めるためのものです。

死ぬのは体であり、体に住まう者ではない

アルジュナはクリシュナをプルショーッタマ(至高のプルシャ)と呼んでいました。というのは、クリシュナこそは、プルシャたちの間で最高の存在であるからです。プルシャには、プラ(要塞(ようさい)となった都)の中にいる者、という意味があります。プラとは、すなわち体です。どの体にもプルシャが内在しており、全宇宙にはプルショーッタマが内在しています。ですから、つまり、死ぬのは体であり、体に住まう者ではないのです。自分の中にはプルシャが存在しているという確信は、心のあらゆる悪を洗い清め、感覚器官のあらゆる悪い性癖を洗い清めます。飲み物だけでなく、器も清らかでなければなりません。そうでなければ、どんなに長く瞑想や憶念をしても、果報はもたらされません。それゆえヴェーダは、厳しい規律を伴う修行と共に、バラモンに任されているのです。そうした修行によって心が洗い清められないなら、ヴェーダの学習は不毛な行為です。

ある男が今にも死のうというときに、男の妻が尋ねました。「私はどうなるの?」

両親も同じことを問いました。「私たちはどうなるのか?」

使用人たちも悲しそうに問いました。「私たちはどうなるのでしょう?」

男は死に際に、力なく周囲を見回して、皆に問いました。「私はどうなるのだ?」

もし、その男が賢い男で、その問いの答えを自分で考えていたのであれば、その出来事を見越しておくべきでした。そうすれば、男は安らかに死に、その穏やかな死を見た子どもたちも、得るところがあったでしょう。

今、人々の会話の中にある流行が広がっています。それは、何か自分によいことがあったと思うと、「おお! これはすべて神の恩寵です」と、言うことです。そして、もし、嫌いな人に同じことが起こると、それは明らかに神の恩寵ではない、なぜなら、神は特別に自分のものであり、別の人のものではないからだと、言うのです。何か自分が嫌だと思うことが起こったとき、どうしてあなた方はそれも神の恩寵のしるしとして受けとめないのですか? 自分を神の手に委ねなさい。成功も失敗も神に与えさせなさい。そうすることに何か問題がありますか? 神はあなたを強くすることに熱心なのか、あるいは、長い目で見ればそれはあなたにとって良いことなのかもしれません。どうしてあなたに判断などできますか? 判断するあなたは一体何様ですか? なぜ判断するのですか? ベストを尽くし、黙して語らずにいなさい。あなたの心をそうした姿勢に定めなさい。

死は事前に知らせをよこさない

あなた方は、カメラマンがいつシャッターを押すかを知りません。少なくとも、ニラヤムで写真を撮っているマシューは、カメラを持ってあなたの前で跳び回り、ここだ、あそこだと指を差します。しかし、死は事前に何の知らせもよこすことはなく、あるいは、「用意はいいか?」と言って、あなたの用意ができるまで待つこともありません。ですから、いつも用意ができているようにしなさい。そうであれば、唇に神の御名を、清められたハートに神の姿を、きれいに刻印することができるでしょう。

あなた方は、今、私を導き手として得ているという、素晴らしい恩恵を自覚していません。私は、あなた方全員を改心させるまで休みません。私の仕事の土台は出来上がりました。これから、その上に建物が建ちます。私は、身の回りのものは一切持たず、一切宣伝することなく、一人で世界中を回ります。なぜなら、私は、私の栄光に、私の真理に、身を据えているからです。私は、すべてのものとアートマの関係を持っており、それゆえ、私は常に成功しています。

作物を守るには、雑草を取り除き、肥やしを撒(ま)かなければなりません。それが、ここにいるヴィドワン マハーサバー(ダシャラー祭の期間に開催される、ヴェーダを復興するためのヴェーダ学者の会)の学僧(パンディト)たち、長い間使われずに無視されてきた道具たちの、仕事なのです。この偉大な仕事に加わりなさい。これは、あなた方の一生で最高のチャンスです。

サイババ述

翻訳:サティヤ・サイ出版協会
出典:Sathya Sai Speaks Vol.3 C30