サティヤ サイババの御言葉

日付:1976年2月11日
場所:アナンタプル市
サティヤ サイ女子大学の祝日の御講話より

霊的な教養は死なず

犬は神聖な言葉の価値を知っているか?
雄牛はセイボリー〔食前の辛口料理〕の味を知っているか?
驢馬は白檀の芳香を知っているか?
盲人は月の美しさを知っているか?

教師の皆さん! 女子学生の皆さん!

学生たちがハートにあふれんばかりの喜びを表して祭日を祝うことが本校の慣わしとなっています。人間が建てた人生という砂上の楼閣は、何の前触れもなく無慈悲に襲ってくる強風によって破壊されます。恐るべき邪悪な霊たちは、揺らいでいる花の蕾をいつ何時押しつぶすこともいといません。この種の体験の中で、私たちも人生は一時的なものであることに気づくようになります。

ヴィッディヤー タポービャーム プータートマ
〔高次の教養と苦行が人の魂を純化する〕

教育それ自体が人間を聖化することはできません。人間を聖化するのは「ヴィッディヤー」〔高次の教養、学識、知識、教育〕と「タパス」〔苦行、タポー〕の組み合わせです。電気を使うには陽極と陰極が必要なように、人生の成就にも教養と苦行の両方が必要です。

これら2つによるならば、教育とは何を意味しているのでしょうか? 世俗的な教育と霊的な教育という2種類の教育があるのは明らかです。一時的な体験も、超越的な体験も、教育から享受することができます。世俗の学習というのは、通常人々が学んでいるものです。教育を得る目的は、学位を取得し、評価の高い職を望み、快適さを得ることであると受け取られています。一介の掃除夫から首相に至るまで、あらゆる職業は「アヴィッディヤー」(ヴィッディヤーのないもの)と呼ぶことができます。世俗的な学問がすべて生計のために始められたのは明らかです。人というのは、食べ物のために生きるものですか? それとも、生きるために食べ物があるのですか? 食べ物は生きていくためにあり、生きていくことは食べ物のためではないということを、よくわからなければいけません。世俗的な教育は生計を得ることだけに向けられています。

では、世俗的でない教育とは何ですか? それは「ブラフマ ヴィッディヤー」です。実を言えば、「ヴィッディヤー」とは、ブラフマン〔神〕に関する知識を意味しているのであり、世俗的な才能を意味しているのではありません。ブラフマンに関して教え導く教育が、「ブラフマ ヴィッディヤー」と呼ばれるものです。この教育は人をパラマートマ(至高神)に結びつけます。この統合が人間の神性と呼ばれるものです。この種の神性を体験するには、もちろん、ある種の教育が必要になります。しかし、安っぽい類の教育からは、どんな幸福も引き出せません。安っぽい教育は人を何らかの疑念や中傷へと導きます。

人間のカルマ的な成就は、物理的な環境によって決まるのでしょうか? 人間のカルマ的な成就は、まったくもって物理的な環境によって決まるものではありません。人間の成就〔真我顕現〕は、各人の性質の力と神聖さによって決まります。人に高尚で幸福な人生をもたらす根本的な原因は、各人の人格や放棄〔ティヤーガ〕といった性質です。望ましいのは、長い人生ではなく、神聖な人生です。ですから、私たちは以上のような特質を伸ばすために教育を追求しなければいけません。

適任の教師による進歩

アーディヤートミカ ヴィッディヤー ヴィッディヤーナーム
〔私は諸学においてはアートマンに関する知識である〕

と『バガヴァッドギーター』のヴィブーティ ヨーガ〔第10章の総称〕は述べています。霊的な教育だけが真の教育です。これは「タパス」(苦行)の力を必要とします。「タパス」とは、家族を離れて森に入り、逆立ちをして厳しい禁欲生活を実践することではありません。タパスは、思考と言葉と行為を真に一体化する行いを必要とします。それは、思いと一致した言葉、言葉と一致した行動を必要とします。ですから、教育は「タパス」として始められなくてはなりません。この高潔な任務において、きわめて献身的で有徳な教師たちが大いに必要とされています。食べ物重視の人生は、死んでいるも同然です。アートマ重視の人生は、永遠です。そこには老齢もなければ死もありません。ですから、学生はアートマ重視の人生を手に入れようと努力しなければいけません。なぜなら、世界の未来は学生たちにかかっているからです。インドに適任の教師たちがいれば、進歩は確実です。

ああ、愛の化身である女子学生の皆さん!

あなた方は、自分のアートマ原理を悟るために適切な努力をしなければいけません。自分の実体を忘れた人間は、何一つ達成できません。私たちは誕生日を祝います。本当のことを言えば、スワミにも、他の誰にも、誕生日などありません。アートマの姿形には生も死もありません。そのようなアートマに何らかの姿形や属性が押しつけられると、それが悲しみの原因となります。幸福こそがアートマの真の姿です。人々は永遠なるアートマのために世俗の誕生日を祝います。

これは、人が一時的な取るに足りない喜びに耽溺しているからです。実際、誕生というものは、誰のためにあるのですか? 誕生日は体のためにあるのみです。体は、生まれ、成長し、衰え、死を迎えます。それだけではありません。体には6種の欠陥が詰まっています。そんな体を気にする必要はありません。人々を引きつけることのために自分の人生を無駄にしてはなりません。アートマを引きつける内なる目を育てるために、ふさわしい努力をすべきです。世俗的な教育は、様々な女子学生を一緒に集め、遊ばせ、楽しませ、魅了し、様々な能力の分野を通じて欲望をかなえます。化学や物理、植物学、動物学等の教科があります。これらの教科を通じて、自然に関するある種の神秘を理解する可能性もあります。自然の神秘を理解すれば、

ブラフマ サッティヤム ジャガト ミッティヤー
(神が真理であり、世界は幻である)

ということを実感するでしょう。

この世で生じることはすべて変化を免れません。この変化を経験する人間、すなわち個人も、同様に変化を免れません。そうであるなら、つねに変化している物質が、つねに変化している人間に、どうやって変化することのない至福を与えることなどできますか? 考えてもごらんなさい。物も体も絶えず変化しています。俗世において変わらないのは、「変わる」ということだけです。それらはすべて空中の楼閣です。それらは空のように無限に大きく広がっています。月や太陽や銀河系に到達するための調査や探究に無数の人々が着手しています。しかし、日常生活に関する経験は、つねに変化している物質に関する事実とは異なります。こちらが真実ですか? それとも、あちらが真実ですか? この質問は、思考するマインドから起こります。

たとえば、私はこの椅子に座っています。もしこの椅子が揺れれば、私も揺れるでしょう。これは事実です。一方、私たちが住んでいる地球は、時速何千マイルもの速さで動いていますが、私たちはその速度を体感していません。では、その体感は真実ですか? それとも非真実ですか? 実際、この椅子は私たちが動いたときだけ動くことができます。ところが、私たちはそうは感じません。この種の体験はこの世の日常生活に付随するものです。別の例を取りましょう。地上にいる限り東西南北があります。ところが、宇宙空間に行けば、そのようなものは何もありません。そこで、再び尋ねます。こちらが真実ですか? それとも、あちらが真実ですか? 科学者は、日没や日の出のようなものは存在しないということを大変よく知っています。しかし、科学者も「日没」や「日の出」の影響を体験しています。

女性の人生はより崇高なもの

ですから、日常生活での経験は人々の知覚の共通基盤であることは明らかです。

内在者には何の病気もない
実のところ、内在者には生も死もない
内在者は激情や偏見に縛られることもない
内在するアートマは神の中の神、これぞ真理なり!

人は、肉体の姿という観点からアートマの姿形を想像しています。けれども、内なる目を養って、内在者であるアートマを顕現させなければいけません。たった今、3人の女子学生がスピーチをして、神聖な思いの流れを言葉にして述べました。皆さんは社会の人々が手本にできるよう、それらの理想を実践し、行動に移さなくてはいけません。女性を通してのみ発展が可能な分野がたくさんあります。どの家庭であれ、どの社会であれ、家庭や社会が名声と良い評判を手に入れるのは、女性のおかげです。女として生まれることは、あらゆる生き物の中で最も気高いものです。

神が男や女の姿をとって、この世で戯れているとき
間違いなく、女の一生のほうが高貴であろう
女は9ヶ月間子供を身ごもり、子供を産み、子供を教え、育てるのだから
どうして母親が引けを取ることなどあり得よう

そのため、人が両親について述べるとき、母という言葉が先で、父はその後に来るのです。ですから、母性について話すときには、2つのことが重要性を持ちます。それは、「人格」と「犠牲の精神」です。女性がこの組み合わせを吸収するなら、全世界は喜びと快活さにあふれるようになります。この女子大学に入学した後、多くの女子学生は、「自分には好きな服を着る自由もなければ、自由に歩き回る自由もない」と感じます。しかし、それは大きな誤りです。それは、あなた方が将来獲得する高潔な地位と名声に気づいていないためにそう思うのです。実際、皆さんは、高潔な仲間や高潔な機関を作る際、その道具となることでしょう。手本としてふさわしい価値のある象徴となることでしょう。

皆さんの年齢では、ある種の制限を苦痛に感じているかもしれません。しかし、将来はそれらが大きな恩恵であることがわかるでしょう。

ナ スカート ラビャテー スカム
〔この世の幸福から真の幸福を引き出すことはできない〕

快適さから幸福が得られると期待してはなりません。困難から喜びを得るよう努力しなければいけません。だからこそ、「喜びは2つの苦痛の合間にある」と言われるのです。適切な方法で備えるならば、皆さんは将来、あらゆる分野でリーダーシップを取ることができるでしょう。ヴィクトリア女王は大英帝国を統治しました。ジャナカ王や他の王たちの宮廷では、大勢の学識ある女性たちがきわめて高い尊敬される地位に就いていました。このカリの時代〔末世〕には、女性が教育を身に付けることに多くの人が反対していることを皆さんも知っているでしょう。しかし、古代には、女性の教育は神聖なものと見なされていました。

多くの人々は、霊的な教育を苦痛に感じます。今はそう感じるかもしれませんが、将来、様々な頭痛の種に悩まされたとき、人々を救うことができるのは霊的な教育です。頭痛の種だと思っていたけれども、今ではそれがよい薬になっているものは何でしょう? どんな病気にも、霊性ほど効き目のある善い処方はありません。衣服の汚れを落とすために石鹸と水を使うように、人生の苦難は霊的な思考によって取り除かれます。真の教育は、人生を美しく甘美なものにします。安っぽい類の教育は、生計を立てることを教える教育です。

嫁ぎ先の家は神聖な学校

嫁ぎ先の家は神聖な学校!
女性の神聖な理想を培うための
嫁ぎ先の家は、あらゆる過ちを許して試練なしに成就を授けてくれる寺院!
ブラフマー、ヴィシュヌ、マヘーシュワラといった神々は
善良な理想の女性に恩恵を施す!

女性にとって、嫁ぎ先の家より偉大な大学が他にありますか? 皆さんは、嫁ぎ先の家でありとあらゆる経験に遭遇するでしょう。それに対して誰かに頼る必要はありません。次から次へと学位を取得しようと努めるのではなく、理想的な主婦、理想的な母親、理想的な義理の娘になるよう努力するとき、身に付けた教育は初めて真の価値を持つでしょう。

理学修士課程を修了したある女性が、教育学士の資格を持つ男性と結婚しました。その夫婦には子供が1人いました。ある日、子供が風邪を引きました。妻も夫も、どうしていいかわからず、泣きだしました。2人はそんな些細なことで医者に押しかけ、医者を困らせました。現代人は、高い学位を取得しても些細なことに対処することができません。そんなことでは、取った学位は何の役に立ちますか? 女性は、自分の食事を作り、自分の衣類を洗濯し、自分の食器を洗うことができなくてはいけません。そうして初めて、皆さんは女性らしさというものに名誉をもたらします。反対に、「これは知らない」、「あれは知らない」と言い続けるなら、あなたは自分を自分の重荷にし、それと同時に、全世界の重荷にもしているのです。忍耐と我慢に欠けているためにこの大学から離れていく学生は不運です。本校の学生は、「苦難は自分にとって善いことであり、自分の安全のためである」と考えて、苦難に立ち向かう覚悟をし、いつでも喜んでいるような気性を育てるべきです。

今日のような祝祭は、この大学で定期的に行われ、毎年、そこで学生たちは霊性の学習と世俗の学習でどれくらい進歩したかを示すことが期待されています。そのことについて、スワミは、あなた方全員が成果を収めるよう祝福すると共に、あなた方のような理想的な学生と相互関係を持って幸福を分かち合える喜びを述べたいと思います。それは物事の本質について、そして、一時的なものと永遠なるものの違いについて、学生たちを啓発する手助けとなるでしょう。スワミの理想を吸収することに加えて、皆さんはその理想を社会に広めることができなくてはなりません。私は皆さんがそれらの原理に反する道をたどらないよう期待します。

「信愛・規律・義務」の3つは、まさしく絶対不可欠な特質です。実は、人には3つの目を授けられています。人間には2つの目しかありませんと、皆さんは言うかもしれません。その2つの目で、私たちは現在を見ています。そして、過去も見ました。また、未来に起こる出来事も見るでしょう。現在の行為は未来の種です。私たちは蒔いた種の通りに刈り取ります。食べた通りのゲップが出ます。したがって、未来に善果を得るには、現在を神聖な方法で過ごすよう努めなければなりません。格言にも、

善人であれ、善を見よ、善を為せ、それが神への道

とあります。今日の祝祭を楽しみにして、あなた方は全員、一晩中、日が昇るのを今か今かと待っていました。「太陽が上昇した」(アルノーダヤム)のではありません。「至福が上昇した」(アーナンドーダヤム)のです。

あなた方全員がハートを永続する幸せで満たすよう、祝福と希望をもって私の講話を終わりにします。

サイババ述

翻訳:サティヤ・サイ出版協会
出典:Women's Role C10