サティヤ サイババの御言葉

日付:1984年10月1日
場所:プールナチャンドラ講堂
ダシャラー祭の御講話より

アヴァターラの神性

クリシュナは、アートマ(神の魂)〔真我/神我〕の内にあるすべてを見るようアルジュナに訓戒し、自らのヴィシュワルーパ(神の普遍相)を見せました。それは宇宙で見えるすべての姿形であり、そのすべてが生じたところです。クリシュナは、その一切はクリシュナの中にあるということを明かしました。クリシュナはアルジュナに言いました。

「私は君の見る木の中にいる。私は海の中にいる。私は大地の中にいる。すべてのものの中に私を見なさい」

クリシュナは、現象世界で見られるすべてのものはクリシュナの中にあるということを明らかにしました。

このことに基づいて、神性(普遍意識としての神)とアヴァターラ(人間の姿をとった神/アヴァター)の違いを理解する必要があります。パラブラフマン(オムニセルフ/全我)は変化をこうむりません。アヴァターラには名前と姿形があり、自らの意志によって変化します。パラブラフマンには名前も姿形もありません。2者の違いは、太陽と太陽が発する太陽光線の例によって説明することができます。太陽と太陽光線には本質的な違いはありません。両者は一つです。アヴァターラが現れる状況がどのようなものであれ、アヴァターラの全能(プールナットワム)は制限されません。名前と姿形は、アヴァターラが明示する神性の完全性に制限を加えるものではありません。名前と姿形は、無限で、永遠で、ずっと純粋な普遍意識が、自ら選んだ属性です。

神は最も小さく、最も大きい

アスティ(存在すること)、バーティ(輝いていること)、プリヤム(歓喜)は、神の特性です。これらは実に、神そのものです。これらは宇宙の万物の基礎です。それらが名と姿形と結び付くと、5つの性質〔5はサンスクリット語でパンチャという〕を得ます。そのため、創造世界の万物はパンチャカ(5つの属性を持つもの)と呼ばれているのです。創造世界がプラパンチャと言い表されているのは、その表現が、創造世界には5つの属性があるということを伝えているからです。

宇宙の進化にはパンチャブータ(5つの大元素すなわち空・風・火・水・地)が必要です。5つの元素を養うには、パンチャコーシャ(5つの鞘)を発達させなければなりません。5つの鞘はパンチャプラーナ(5つの生気)によって維持される必要があります。5つの生気はアヴァターラ(神の化身)の中に含有されています。それらは、プラーナ(吸気)、アパーナ〔排出気〕、ヴィヤーナ〔分配気〕、ウダーナ(上気)、サマーナ(等気)です。5つの生気は、これらの源である一なるものから生じます。5つの生気はチャイタンニャ〔覚醒意識〕(オムニセルフ/全我)の意志によって生まれました。

チャイタンニャがなければ、宇宙は無です。その最も小さな形である微粒子から、その最も大きな形である最大のものまで、神は全世界に浸透しています。

海の水は、どんなに小さな器に入れられても、海と同じ性質を持っています。それと同じように、アヴァターラは、どんな名があり、どんな姿をしているかにかかわらず、神の完全性を有しています。名と姿以外、アヴァターラはすべての点においてまったく神性と同一です。クリシュナがアルジュナに、

「私に全託し、私を拝み、君のすべてのダルマを私に捧げよ。そうすれば、私は君を守り、解脱させよう」

と促した時、クリシュナは自らの神性、全能、全知、遍在を完全に意識して話していました。これほどの断言ができるのは神だけです。

個人の中に存在する無限なるものを認識すべし

『ラーマーヤナ』で、ラーマはさまざまな状況において普通の人間のように振る舞っているように見えますが、ラーマのアートマの実体を知っていたヴァシシュタ仙は、こう述べました。

「ラーマ! あなたはダルマの化身にほかなりません。あなたは肉と血でできた身体的な存在ではありません。あなたはすべての神聖なマントラの化身です。あなたは大地の子ではありません。あなたは永遠の霊です。一般人はあなたを普通の人間だと思うかもしれません。しかし、ヨーギたちはあなたをダルマを支えるお方として体験しています」

ラーマ アヴァターラは、ダルマそのものが人の姿をとった者です。ラーマの「ラー」は「プルシャットワ」(人間性)と「マハー プルシャットワ」(超人間性)を意味します。「マ」にもいくつかの意味があります。「ラーマ」はプラクリティ(創造世界)とパラマートマ(オムニセルフ/全我)の一体性を象徴しています。

宇宙に二元性はありません。神性はプラクリティとパラマートマの結合です。神は人の姿をまとって個人として現れます。私たちは個人の中に存在する無限なるものを認識しなければなりません。個人 × 無限 = 神です。宇宙の無限性の中に、神性の遍在の中に、神を見なければなりません。

サイババ述

翻訳:サティヤ・サイ出版協会
出典:Sathya Sai Speaks Vol.17 C26