サティヤ サイババの御言葉

日付:1989年6月24日
場所:プラシャーンティ マンディール
サイ大学の学生への連続講話⑦より

類まれな機会

人間の生涯は、花輪のように、誕生が輪の一番端にあり、死がもう片方の端にあります。両端にあるこの二つが、困難や心配、喜びや悲しみ、夢といった、あらゆる種類の花々を数珠つなぎにしています。全部の花をつなげている糸の存在に気づいている人は、ごくわずかしかいません。糸がなければ花輪は存在できません。糸に気づいた人だけが、本当の人間になることができます。その糸は、スートラ(糸の意)、すなわち、ブラフマ スートラ(神の糸)と呼ばれています。神聖なアートマ原理がその糸であり、それはすべての人間の中に見出すことができます。それはすべての人間の内にある、あらゆる力の源です。

バーラタ(インドの正式名/神を愛する者の意)は、霊性の家であり、至高の英知の宝庫でしたが、今では、嘘、誤魔化し、暴力、不正を喜ぶ、悪魔のような力にとらえられています。こうした危機にあって、平和と正直と善意をもたらすために役立つことができるのは学生しかいないという確信から、私たちは教育機関を設立しました。

学生諸君!

諸君が年長者、リーダー、高い地位を得ている人、尊敬に値する人と見なしている人たちも、かつては諸君と同じ学生だったということを、よく頭に入れておかなければいけません。今日の学生が、未来の国民、行政官、リーダーとなるのです。将来における自分の役割を考慮しつつ、古い世代の長所と欠点を見極めて、それから、現在の機会を活用しなければいけません。

霊性と道徳は両眼のごときもの

諸君は学位を得るために真剣に努力しています。それよりもっと大きな努力を、自分の人格と正直さを育(はぐく)むために払うべきです。道徳と善を有していないなら、人の一生は無意味なものとなります。諸君ら学生は、諸君が霊性と道徳において後退したときにサイ マータ(母なるサイ ババ)が感じる辛さは、諸君が文系、理系の学問をよく修めていないときに諸君の両親が感じる辛さの何千倍も大きいということを覚えておくべきです。霊性と道徳を人間の両眼と見なしなさい。

科学と技術の分野は著しく発展しましたが、利己心が肥大したために、道徳と社会性は低下しています。あらゆる行いにおいて利己心が支配的になっています。人の一生が利己心に支配されていたら、社会はどうなりますか? 人は社会から多くの恩恵を受けており、どの人にも社会への責任があります。社会は、人間同士のギブ アンド テイクの原理を基盤としています。諸君の第一の義務は、両親、親類縁者、友人、先生、そして、諸君が本来の自分となれるよう諸君をさまざまに助けてくれた人たちに、感謝を示すことです。

加えて、真の喜びの源泉は外の世界の物の中にあるのではなく自分の中にある、ということにも気づかなければいけません。シーターがラーヴァナのアショーカ樹(無憂樹)の庭園に監禁されていたとき、庭園にあった美しいものの中でシーターに喜びをもたらしたものは一つもありませんでした。しかし、ラーマの使者、ハヌマーンの姿を見るや、大きな喜びがもたらされました。なぜなら、シーターの思考の一切はラーマに集中しており、そこに、ハヌマーンが、いかにして自分がラーマを崇(あが)めるようになったかを、ラーマの栄光を歌うことで表現したからです。

これは、人は、ただ美しいだけのもの、美しいだけの人から喜びを得ることはできない、ということを示しています。人は自分が愛するものから喜びを得ます。それ以外のものからは喜びは得られません。愛こそが、ものに美しさを添えているのです。それゆえ、喜びがすなわち美であり、蜜の甘さである、とされているのです。喜びを求める人は皆、美しいものを追いかけるべきではありません。喜びの泉はあなたの中にあります。喜びを生み出すためには、内なる目を育むべきです。

内にある神の力を顕現させよ

学生諸君!

どの人の中にも、生来備わっている神の力が存在します。諸君はそれを顕現させる努力をしなければいけません。諸君が得ることのできた知識の一切は、その内在する神の力のおかげであるということを知りなさい。諸君はその力を大切にして、育まなければいけません。大半の人は、自分と家族の福利を増したいという利己的な目的のためにその力を使います。しかし、本当は、その力は全世界のために役立てるべきです。諸君は、「すべての世界の福利を喜ぶこと」(サルヴァローカ ヒテー ラタハ)という『バガヴァッドギーター』の理想に沿って生きるべきです。諸君の中にある神性を認識し、その体験をすべての人と分かち合いなさい。教育の真髄を成すものである徳を育むために、自分の中の神の力を使いなさい。あなたに人々の尊敬よりも愛をもたらすような生活を送りなさい。

サイババ述

翻訳:サティヤ・サイ出版協会
出典:Sathya Sai Speaks Vol.22 C16